「窓をあける」とは
「窓をあける」が持つ2つの意味
01
『耐性の窓』を拡げる
社会や人との交流を回復する
02
「窓をあける」という名前、ちょっと不思議に思われるのではと思います。
ここに込めた意味を、少しご説明させていただきます。
《トラウマ反応とは、体の反応!》
つらい出来事に遭遇し、それをうまく乗り越えられないときに、体にはストレス反応・トラウマ反応が生じます。自律神経系が些細な刺激も危険とみなして、過剰な反応をしてしまい、なかなか穏やかな状態に戻れなくなります。
「なにもないのに、息苦しさ、動悸、過呼吸になってしまう」
「ちょっとしたことでカッとなり、感情がコントロールできない」
「不安で、その場から逃げたくなる」
さらに
「感情が麻痺して何も感じない、動けない」
「体に問題がないはずなのに、頭痛や腹痛を繰り返す」など。
これらは、『目の前に危険はないのに、自律神経系の警報スイッチが入ったまま』の状態といえるでしょう。ストレス反応・トラウマ反応とは、記憶の問題であると同時に、「自分ではコントロールできない、体の反応」ともいえます。
《耐性の窓とは?》
『耐性の窓』とは、〝ストレッサー(刺激)に耐えることができるの幅”の広さを指します。この幅が広い時、人は「試験」「プレゼン」なども適度な緊張感でこなすことができますし、それらが終わると一人でのんびりしたり、親しい人と話しながらくつろぐことができるのです。
しかし、トラウマ的な出来事の影響で『耐性の窓』が狭まっている状態では、少しのことで過呼吸が生じたり、感情がたかぶってコントロールできない、現実感がなくなる、などの状態が生じやすくなってしまいます。まずは、この『刺激に耐えられる幅』を広げ、安定して過ごせる時間・場所を増やすことが大切です。
《人との交流は、少しずつ、ご自分のペースで》
さらに、このような『自律神経系の警報機が勝手に入ってしまう状態』が続くと、外に出ること、人と会うことなどを避けがちになるのは当然です。これが「回避」です。
「自律神経系の反応を穏やかにし」
「一人でのんびりとくつろげるようになり」
その次には、ご自分のペースでこの「回避」を解いていき、
「やりたいことができ、会いたい人ともまた会えるようになる」
ことを目指してまいりましょう。
実際には、この3つのステップは重なり合い、らせんを描くように少しずつ広がっていくでしょう。反対に、適度に活動しすぎていたのでちょうどよく「閉じて」おくことが必要であったかたもいるかもしれません。
このようなプロセスで回復が進み、皆さんが本来のご自分らしさを取り戻していく過程を、主にソマティック(身体的)な心理療法を用いてサポートしたい。「窓をあける」はそう考えています。