「窓をあける」の二つの意味
当カウンセリングルーム名「窓をあける」には、二つの意味が込められています。
◇一つ目は、「『耐性の窓』を拡げる」こと、
◇二つ目は、「社会や人との交流を回復する」ことです。
つらい出来事に遭遇し、それをうまく乗り越えられないときに、体にはストレス反応・トラウマ反応が生じます。自律神経系が些細な刺激も危険とみなして、過剰な反応をしてしまい、なかなか穏やかな状態に戻れなくなります。
「なにもないのに、息苦しさ、動悸、過呼吸になってしまう」
「ちょっとしたことでカッとなり、感情がコントロールできない」
「不安で、その場から逃げたくなる」
さらに
「感情が麻痺して何も感じない、動けない」
「体に問題がないはずなのに、頭痛や腹痛を繰り返す」など。
これらは、『目の前に危険はないのに、自律神経系の警報スイッチが入ったまま』の状態といえるでしょう。ストレス反応・トラウマ反応とは、「自分ではコントロールできない、体の反応」ともいえます。
『耐性の窓』とは、〝ストレッサー(刺激)に耐えることができるの幅”の広さを指します。
この窓が広い時、人は「試験」「プレゼン」なども適度な緊張感でこなすことができますし、それらが終わると一人でのんびりしたり、親しい人と話しながらくつろぐことができるのです。
しかし、トラウマ的な出来事の影響で『耐性の窓』が狭まっている状態では、少しのことで過呼吸が生じたり、感情がたかぶってコントロールできない、不安でその場にいられない、現実感がなくなる、さらには記憶が飛ぶ、などの状態が生じやすくなってしまいます。
この『刺激に耐えられる幅』を広げ、安定して過ごせる時間・場所を増やすことがまずは大切です。
さらに、このような『自律神経系の警報機が勝手に入ってしまう状態』が続くと、外に出ること、人と会うことなどを避けがちになるのは当然です。
「自律神経系の反応を穏やかにする」
→「一人でのんびりとくつろげるようになる」
→「やりたいことができ、会いたい人ともまた会えること」
このようなプロセスで回復が進み、皆さんが本来のご自分らしさを取り戻していく過程を、主にソマティック(身体的)な心理療法を用いてサポートしたい。「窓をあける」はそう考えます。